フジゲンは日本の老舗ギターメーカーで、世界的にも重要な会社です。高品質でありながら手に入れやすい価格で人気のブランドです。また、フジゲンはOEMの会社としても有名でグレコやアイバニーズといったブランドのギターの製造も行っていました。1982年にはフェンダー社や神田商会とともにフェンダー・ジャパンを設立。製造はフジゲンが請け負っていました。フェンダー社がCBSを離れ、再び独立した際には自社工場を持っていなかったフェンダー社に変わってすべての生産を請け負っており、一時期は世界で販売されるフェンダーギターがフジゲン製であったこともありました。
そんなフジゲンですからギター製造のノウハウが豊富で、高品質の製品を手頃な価格で作ることができるんです。
フジゲンのギターの特徴の一つがサークルフレッティングシステム(CFS)です。フレットは通常まっすぐですが、CFSはヘッドの方を中心に弧を描くような形になっており、これによってクリアな響きになり、サスティンも伸びるそうです。

また、指板のRもローポジションからハイポジションになるにつれて平らになっていく円錐形をしており、弾きやすさや音色に大きく貢献しています(コンパウンド・ラジアス指板)。このへんも長年ギター製造を重ねてきたフジゲンならではの技術力が出ていますね。

フジゲンのギターは、古くからあるギブソンやフェンダーのギターを再現したタイプとそれらをベースにオリジナルのシェイプを与えられたモデルがあります。フジゲンはフェンダーのギターを製造していたこともありますし、ギブソンがエントリー向けとして展開していたOrvileブランドの製造を請け負っていたこともありますので、そのへんの再現度は本家も認めるクオリティと考えていいと思います。おすすめモデルをいくつか紹介します。
Expert ODYSSEY(EOS)
ストラトキャスターをスリムにしたようなスタイリッシュなボディを持つ、フジゲンの最上級クラスのギターです。きれいな木目の材を使用し、見た目にも非常に高級感があります。サークル・フレッティング・システム、コンパウンド・ラジアス指板が採用されているのはもちろん、従来に比べてネックをボディに約1㎜深くセットする”ロー・セッティング・セット・アップ”を採用することで弦とボディトップの距離を短縮していて、非常に弾きやすいギターです。

J-Standard ODYSSEY(JOS)
EOSと同じシルエットを持ちながら、コストを抑えており、トラディショナルな風貌ながら現代のニーズに合わせたスペックを盛り込んだフジゲンギターの代表モデルです。サークル・フレッティング・システム、コンパウンド・ラジアス指板が採用されていてとても弾きやすく、Seymour Duncan製のピックアップを搭載していて音も良く、非常にコストパフォマンスに優れたモデルです。
Neo Classic NST
オーソドックスなストラトタイプの外観を持ちながらも、サークル・フレッティング・システム、コンパウンド・ラジアス指板、ロー・セッティング・セット・アップを採用し、非常に現代的なプレイアビリティを持ったギターです。リアピックアップがハムバッカーになっているモデルもあります。こちらもコスパ最強のギターです。
Neo Classic NLC & NLS
ギブソンレスポールのコピーモデルですが、サークル・フレッティング・システムを採用した現代的なプレイアビリティを持つギターです。ギブソンのエントリー向けモデルは、現在ではEpiphoneが担っていますが、かつてはOrvileというブランドを展開してました。そのOrvileを製造していた会社の一つがフジゲンでした。つまりこちらも本家からのオーダーを受けて製造していたわけですね。


カタログモデルにはない、通常よりも5mm以上ボディが薄いタイプのものや、グリーン、レッドといった変わったカラーのものも販売されています。
Masterfield MSA
こちはらギブソンのES-335をモチーフとした、いわゆるセミアコタイプのギターです。本家の335よりも一回り小さいボディになっていて、演奏性に優れたモデルです。335を弾いてみたいけど、あのボディの大きさを敬遠していた人にはピッタリじゃないでしょうか。